1970年前後から90年にかけて円熟期を迎えたルーシー・リーの陶芸は、それまでの技法をベースに多くの洗練された表現を生み出していきます。フォルムと釉薬、そして装飾を構築的に組み合わせていくルーシー・リー・スタイルが、多彩なヴァリエーションとともに完成に向かうプロセスを見ることができます。
この時期を代表するフォルムとしては「鉢」と「花器」があげられます。鉢はすっきりとしたアウトラインと、細く高い高台を特徴とし、ピンクなど鮮やかな釉色をはじめ、マンガン釉、熔岩釉、白釉など多彩な釉薬で彩られています。花器の広がる口部、細長い首、胴部、脚部から構成されるフォルムは、轆轤でパーツごとに挽き、それぞれを継ぐ「コンビネーション・ポット」の手法が用いられています。
70年代以降リーの作品は、海外はもとより日本でも紹介されるようになります。88年にはファッションデザイナーの三宅一生がリーの工房を訪ねています。翌年「現代イギリス陶芸家 ルゥーシー・リィー展」(草月会館 草月ギャラリー)が開催され、日本での人気に火がつきました。91年には大英勲章第2位(デイム)を受章し、リーの評価は確固たるものとなりました。
《ピンク線文鉢》1980年頃 個人蔵 撮影:上野則宏
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《線文花器》1980年頃 個人蔵 撮影:大屋孝雄 |
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《青釉鉢》1980年頃 個人蔵 撮影:伊奈英次
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《緑釉鉢》1980年頃 公益財団法人北野美術館 撮影:大屋孝雄
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《白釉青線文鉢》1979年 東京国立近代美術館 撮影:上野則宏 |
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《スパイラル文花器》1980年頃 個人蔵 撮影:大屋孝雄
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《青ニット線文鉢》1980年頃 個人蔵 撮影:伊奈英次 |
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