芹沢銈介は型染の技法を用いて、さまざまなものを模様として染め上げました。この章では、吉祥文、文字、繰り返し模様などデザインの傾向別にのれんや着物を紹介し、芹沢の生み出した模様の魅力に迫ります。
松文間仕切 1961年 紬に型染 |
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喜の字のれん 1970年ころ 木綿に型染 |
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芹沢は、型染を始めて間もない頃の1931(昭和6)年に『工藝』の装幀を手がけて以来、生涯を通じて500冊以上の装幀にたずさわりました。この章では約100冊の装幀本を一堂に集め、型染の布を使った豪華なもの、肉筆を表紙原画として用いたものなど多彩なブックデザインの世界を紹介します。
『工藝』創刊号 1931年 木綿に型染 |
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『工藝』第7号 1931年 木綿に型染 |
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戦時中の布不足を背景に、芹沢は布ではなく和紙を染める染紙の技法を開発しました。戦後、染紙によるカレンダーやカード類などの需要も増え、1955(昭和30)年には芹沢染紙研究所が設立され、人々の日常を美しく飾る製品が数多く作られました。この章では、カレンダーをはじめ、うちわ、燐票(マッチラベル)、ランチョンマットなどの染紙製品を中心に紹介します。
昭和27(1952)年カレンダー 1951年 和紙に型染 |
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芹沢の創作活動は、型染を基礎としながらも、工房作の製品や商業デザインなど多岐にわたります。本章では、包装紙やパッケージなどのデザインや、ふきんや卓布など工房で制作された染色製品を紹介し、あわせて芹沢のモダンなセンスが発揮されたカーテン地などの作品も展示し、現代に息づく芹沢のデザインをお楽しみいただきます。
摺りぼかしカーテン地 1962年 木綿に摺りぼかし |
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ニユートーキヨー、ビール祭の記念絵皿 1966年 陶器に型染原画をプリント |
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*作品はすべて静岡市立芹沢銈介美術館蔵